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相続した実家(戸建て)の売却の流れと税金対策:損をしないための基礎知識

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相続した実家(戸建て)の売却の流れと税金対策:損をしないための基礎知識

「親から実家を相続したけれど、自分たちはすでに家を持っている」 「誰も住む予定のない空き家を管理していくのは大変…」

親の亡き後、実家(戸建て)を相続したものの、維持管理の手間や固定資産税の負担から、売却を検討する方は年々増加しています。しかし、相続した不動産の売却は、通常の不動産売却と異なり、「相続登記(名義変更)」や「遺産分割協議」、そして「相続にまつわる特例税制」など、複雑な手続きと専門知識が必要になります。

この記事では、相続した戸建てを売却する際の手続きの流れ、トラブルを防ぐための遺産分割のポイント、そして手元により多くのお金を残すための節税特例について詳しく解説します。

1. なぜ相続した戸建ては早めに売却すべきなのか?

誰も住んでいない実家を「とりあえずそのまま」にしておくことは、実は大きなリスクとコストを伴います。

  • 維持管理コストの発生: 住んでいなくても、固定資産税や都市計画税は毎年かかります。さらに、火災保険料、光熱費の基本料金、庭の草むしりや建物の修繕費など、思いのほか費用がかさみます。
  • 資産価値の低下: 木造の戸建ては、人が住まずに換気や通水が行われないと、急速に老朽化が進みます。時間が経てば経つほど、建物の価値は下がり、売却価格も下がってしまいます。
  • 「特定空き家」に指定されるリスク: 管理状態が悪く、倒壊の危険があるなどと自治体から「特定空き家」に指定されると、固定資産税の優遇措置が外れ、税金が最大で約6倍に跳ね上がる恐れがあります。

これらの理由から、活用する予定がないのであれば、資産価値が高いうちに早急に売却活動を始めるのが賢明な判断と言えます。

2. 相続した戸建て売却の全体的な流れ

相続した不動産を売るためには、まず「故人の名義」から「相続人の名義」へ変更する必要があります。亡くなった方の名義のままでは売却できません。

ステップ1:相続人の確定と財産調査

誰が法的な相続人になるのかを戸籍謄本などを取り寄せて確定させます。同時に、亡くなった方の財産(不動産、預貯金、借金などの負債も含む)をすべて洗い出します。

ステップ2:遺産分割協議の実施

相続人が複数いる場合、「誰が実家を相続するのか(あるいは売却して現金を分けるのか)」を話し合い、全員の合意を得る必要があります。この合意内容をまとめた「遺産分割協議書」を作成します。

【ポイント】実家の分け方は「換価分割」がおすすめ 不動産という分けにくい財産を公平に分けるには、不動産を一旦売却して現金化し、その現金を相続割合に応じて分配する「換価分割(かんかぶんかつ)」が最もトラブルが少なく、実務でもよく用いられます。この場合、代表者一名の名義にして売却するか、相続人全員の共有名義にして売却するかを協議で決定します。

ステップ3:相続登記(名義変更)を行う

遺産分割協議書に基づき、法務局で実家の名義を故人から相続人(または代表相続人)へ変更する「相続登記」を行います。この手続きは複雑なため、司法書士に依頼するのが一般的です。(※2024年4月から相続登記は義務化されました)

ステップ4:不動産会社へ査定依頼・媒介契約

名義変更が完了したら(または手続きと並行して)、不動産会社に実家の査定を依頼します。複数社に査定を依頼し、信頼できる不動産会社と媒介契約を結びます。

ステップ5:売却活動・売買契約・引き渡し

不動産会社が買主を探し、条件がまとまれば売買契約を締結します。その後、買主からの代金支払いと同時に物件を引き渡し(所有権移転登記)、売却手続きは完了です。

ステップ6:売却代金の分配(換価分割の場合)と確定申告

換価分割の場合、手元に入った現金を遺産分割協議で決めた割合に従って各相続人に分配します。また、不動産を売却して利益(譲渡所得)が出た場合は、翌年の2〜3月に確定申告を行い、税金を納める必要があります。

3. 相続不動産の売却で利用できる強力な節税「特例」

不動産を売却して利益(売却価格から取得費や諸経費を引いた額)が出た場合、「譲渡所得税」がかかります。親が昔安く買った土地が高く売れた場合など、多額の税金が発生する可能性がありますが、相続不動産には負担を軽減するための特例が用意されています。

特例1:被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例(3,000万円特別控除)

一人暮らしだった親が亡くなり、実家が空き家になった場合、一定の要件を満たして売却すれば、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる非常に強力な特例です。

  • 主な要件:
    • 昭和56年(1981年)5月31日以前に建築された戸建てであること(旧耐震基準)
    • 相続開始の直前まで被相続人(親)が一人で住んでいたこと
    • 相続の時から売却まで、事業用や貸付用、居住用に使われていないこと(ずっと空き家であること)
    • 売却時に現行の耐震基準を満たしているか、建物を解体して更地にして売却すること
    • 相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること

要件は厳しいですが、税負担が数百万円単位で変わることもあるため、利用できるか必ず確認すべき特例です。

特例2:相続財産を譲渡した場合の取得費の特例(取得費加算の特例)

相続税を納付した人が、相続した不動産を一定期間内(相続開始のあった日の翌日から3年10ヶ月以内)に売却した場合、納めた相続税のうち一定額を、不動産の「取得費」に加算できる特例です。取得費が増えれば譲渡所得が減るため、結果として譲渡所得税が安くなります。上記の3,000万円特別控除とは併用できないため、どちらが有利になるか計算が必要です。

4. 損をしないための注意点

  • 相続登記前の売買契約は避ける: 買主が見つかっても、相続登記が完了していなければ所有権を移転できません。手続きの遅れはトラブルの元になるため、速やかに相続登記を進めましょう。
  • 共有名義のまま残さない: 遺産分割の際、とりあえず兄弟全員の「共有名義」にするのは推奨されません。将来いざ売ろうとした時に、全員の同意と署名・実印が必要になり、誰か一人が反対したり認知症になったりすると売却がストップしてしまう「塩漬け」のリスクがあります。
  • 「遺品整理」は早めに計画的に: 実家売却の最大の壁とも言えるのが遺品整理です。家の中に荷物が残っている状態では、内覧の印象も悪く、引き渡しもできません。業者に依頼すると高額になることもあるため、売却活動と並行して計画的に進めましょう。

5. まとめ:相続登記と特例の確認はお早めに

相続した戸建ての売却は、「遺産分割・相続登記・税金の特例」という3つの大きなハードルを越える必要があります。放置すればするほど建物の価値は下がり、税金の特例が使える期限(3年)も過ぎてしまいます。

損をせず、円満に手続きを進めるためには、まずは誰が相続するのかを早急に決定し、司法書士や税理士、そして相続案件に強い不動産会社など、専門家の力を借りながら計画的に進めることが成功の鍵です。

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