収益物件売却の流れで起きやすいトラブルと回避の法則
収益物件の売却は、動く金額が大きく、入居者や管理会社といった複数の関係者が存在するため、一般的なマイホームの売却よりもトラブルが発生しやすい傾向にあります。この記事では、売却の流れの各段階で起こりがちなトラブル事例と、それを未然に防ぎ、損をしないための具体的な回避策を解説します。
1. 査定・媒介契約時のトラブル
売却活動の入り口から、不動産会社との間でトラブルが生じることがあります。
囲い込みによる機会損失
不動産会社が自社で買い手を見つけて両手仲介(売り手と買い手の双方から手数料を得ること)を狙うため、他の不動産会社からの問い合わせを意図的にブロックする「囲い込み」という悪質な行為があります。これにより、高く買ってくれるはずだった購入希望者を逃してしまう恐れがあります。 【回避策】専任媒介契約を結んだ場合、不動産流通機構(レインズ)への登録証明書を必ず受け取り、正しく物件情報が公開されているか確認しましょう。
高すぎる査定額(高預かり)
契約を取るために、到底売れないような高い査定額を提示してくる会社があります。結局売れずに何度も値下げを提案され、最終的に相場より安く手放すことになりかねません。 【回避策】複数社に査定を依頼し、査定額の根拠(周辺の類似物件の取引事例や利回り計算)を徹底的に比較・確認しましょう。
2. 売却活動中のトラブル
物件情報を公開し、購入希望者を探している最中にもリスクが潜んでいます。
情報漏洩による入居者の退去
「物件が売りに出されている」という情報が不適切な形で入居者に伝わり、不安を感じた入居者が退去してしまうトラブルです。空室が発生すると物件価値(利回り)が下がり、売却に悪影響を及ぼします。 【回避策】不動産会社に対して「オーナーチェンジ物件」であることを徹底させ、入居者に知られないよう配慮した広告活動(外観写真の掲載制限など)や内見時のルールを取り決めましょう。
レントロールの虚偽記載(告知義務違反)
滞納している入居者がいることや、近い将来退去予定の入居者がいることを隠してレントロール(賃貸条件一覧表)を作成し、買い手に提示すると、契約後に重大なトラブル(損害賠償請求や契約解除)に発展します。 【回避策】不利な情報であっても、滞納履歴や修繕が必要な箇所などは、ありのままを正確に不動産会社および買い手に告知しましょう(告知義務)。透明性の高い情報開示が最大の防御です。
3. 売買契約・引き渡し時のトラブル
いよいよ契約という段階になって、予期せぬ事態が発生することがあります。
融資特約による白紙解約
買い手が金融機関からローンを借りて購入する場合、売買契約に「融資が承認されなかった場合は契約を白紙に戻す」という融資特約(ローン特約)が盛り込まれます。審査落ちにより契約が解約されると、売却活動が振り出しに戻ってしまいます。 【回避策】買い手の属性(自己資金の額や職業など)を不動産会社を通じて事前に確認し、融資が通りやすい買い手かどうかを見極めることが重要です。
契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)を巡るトラブル
引き渡し後に、雨漏りやシロアリ被害、設備の重大な故障など、契約内容に適合しない欠陥が見つかった場合、買い手から修補や損害賠償、代金減額を請求されるリスクがあります。 【回避策】売買契約書において、契約不適合責任を負う期間を限定する(例:引き渡しから3ヶ月)、あるいは設備については免責とするなど、責任範囲を明確に定めておくことが不可欠です。
まとめ:透明性と信頼できるパートナー選びが鍵
収益物件の売却におけるトラブルの大半は、「情報の隠蔽」や「不動産会社とのコミュニケーション不足」から生じます。リスクを回避し、損をせずに売却を完了させるためには、不都合な事実も含めて正確に情報を開示すること、そして、収益物件の取引実績が豊富で信頼できる不動産会社をパートナーに選ぶことが最も重要です。