マンション売却のタイミングで悪徳業者に騙されないための見極め方と対策
マンション売却は、人生で何度も経験するものではないため、専門知識を持たない売主は不動産会社の言うことを信じるしかありません。残念ながら、その情報格差を利用し、売主を騙して自社の利益を優先する悪徳な不動産業者が存在します。焦って売却のタイミングを間違えると、数百万単位で損をする可能性もあります。この記事では、マンション売却の各タイミングで悪徳業者に騙されないための見極め方と、自己防衛の対策について徹底解説します。
騙される手口1:査定タイミングでの「高額査定(査定額の吊り上げ)」
売却の第一歩である査定依頼のタイミングで、最も多い手口が「相場からかけ離れた高額な査定額を提示してくる」ことです。
【手口の巧妙さ】 不動産会社は、売主から売却の依頼(媒介契約)を獲得しなければ利益になりません。そのため、他社よりも意図的に高い査定額を出し、「うちならこれだけ高く売れますよ」と甘い言葉で専任媒介契約を結ばせます。しかし、相場より高すぎる価格では当然売れません。数ヶ月後、「市場の反応が悪いので値下げしましょう」と持ちかけられ、結局は相場以下の安い価格で売らされる羽目になります。売主は時間もお金も失うという大きな損をします。
【騙されないための対策】
- 一括査定サイトを活用する: 必ず3〜5社の不動産会社に査定を依頼し、査定額の平均(相場)を把握します。
- 根拠を問いただす: 突出して高い査定額を出してきた業者には、「なぜこの価格で売れるのか」「過去の類似物件の成約事例を見せてほしい」と根拠を求めましょう。明確な根拠を示せない業者は要注意です。
騙される手口2:売却活動中の「囲い込み」
不動産業界における最大の悪習と言われるのが「囲い込み」です。
【手口の巧妙さ】 仲介手数料は、売主と買主の両方から得る「両手仲介」が不動産会社にとって一番儲かります。そのため、自社で買主を見つけるまで、他の不動産会社からの「買いたいお客様がいます」という内覧の申し出を、「現在商談中です」などと嘘をついて断ってしまいます。これをされると、マンションが市場に出回らず、売れるタイミングを完全に逃してしまいます。結果として値下げを余儀なくされ、売主は損をします。
【騙されないための対策】
- 専属専任・専任媒介契約の際はレインズの登録証明書を確認: 契約後、指定流通機構(レインズ)に正しく登録されているか、証明書を必ず受け取ります。
- ステータス管理を利用する: 現在はレインズのシステムで、売主自身が「公開中」「書面による購入申込みあり」などの取引状況(ステータス)を確認できるようになっています。定期的にログインして状況を監視しましょう。
- 一般媒介契約を検討する: 囲い込みが不安な場合は、複数の会社と契約できる「一般媒介契約」を選ぶのも一つの防衛策です。
騙される手口3:売れないタイミングでの「自社買取への誘導(干し行為)」
売却活動が長引いたタイミングで仕掛けてくる悪質な手口です。
【手口の巧妙さ】 わざと積極的な営業活動を行わず(または前述の囲い込みを行い)、マンションを数ヶ月間「売れない状態(干す)」にします。売主が不安になった絶妙なタイミングで、「いつまでも売れないと維持費もかかりますし、弊社で買い取りましょうか?」と持ちかけます。買取価格は相場の6〜8割程度になるため、業者は安く買い叩くことができ、その後リフォームして転売することで莫大な利益を得ます。
【騙されないための対策】
- 定期報告を厳しくチェックする: 専任媒介契約では、2週間に1回以上(専属専任は1週間に1回以上)の業務報告義務があります。問い合わせ件数や広告の実施状況を詳細に報告させましょう。
- 担当者の変更や契約解除を躊躇しない: 活動に誠意が感じられない、報告が適当である場合は、媒介契約の更新(通常3ヶ月)をせず、別の不動産会社に切り替える勇気を持ちましょう。
騙されないための最大の防御は「知識をつけること」
悪徳業者に騙されて損をしないためには、すべてを業者任せにせず、売主自身がマンション売却の基本的な流れと相場感を持っておくことが不可欠です。
- 近隣の相場を調べる: 国土交通省の「土地総合情報システム」や、不動産ポータルサイトを利用して、同じマンションや近隣の類似物件がいくらで売りに出されているか、過去にいくらで取引されたかを自ら調べましょう。
- 焦りは禁物: 「今すぐ契約しないと損しますよ」といった、決断を急がせるような営業トークには乗らないこと。「持ち帰って家族と相談します」と一度冷静になる時間を作ることが、悪徳業者から身を守る最大の秘訣です。